南アルプス

富士山からの距離も近く、国内標高第1位(富士山)- 第2位(北岳)- 第3位(間ノ岳)を同時に眺めることのできるだけでなく、ゆったりとした壮大な稜線を歩くことができるのが魅力です。特に、北岳から間ノ岳、農鳥岳に続く稜線は「天空の散歩道」と呼ばれるだけあって周りのどこよりも高い稜線を歩くことができます。

南アルプスはどこも山深いところにあり、登山口までのアクセスがやや大変です。また他の山域に比べ、日帰りピストンがしづらく、一度山に入ると最低でも1泊2日、縦走すると2泊3日や3泊4日、それ以上の長い山行になります。八ヶ岳や北アルプスに比べ縦走の難易度も高いといえます。それでも、南アルプスの壮大さ、大展望を味わっていただくため、ここでは1泊2日で行けるコースを中心に紹介します。

おすすめコース

北岳・間ノ岳
富士山についで国内で2番目に高い北岳(3,193m)と3番目に高い間ノ岳(3,190m)を登頂します。最高峰の富士山を眺めながら、北岳から歩く雄大な稜線は国内でも屈指の眺望だと思います。間ノ岳までであれば、ピストンも可能です。その先の農鳥岳まで行く場合は、縦走になり、登山口と下山口が別になりますので、そのプランが必要です。

●コース例(1泊2日または2泊3日):
広河原〜白根御池小屋〜小太郎尾根分岐〜北岳肩ノ小屋〜北岳〜北岳山荘(泊)〜間ノ岳〜八本歯ノ頭〜大樺沢二俣〜白根御池小屋〜広河原(下山)
 体力:★★★☆
 技術:★★☆☆
・南アルプス入門コース
・白根御池小屋か肩ノ小屋に泊まる2泊3日もあり
・草すべりの急登は上り応えあり
・大樺沢ルートは通行止め(2024年現在)
・どの山小屋もテント泊可能
・テント泊するなら北岳山荘がおすすめ

甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳
山梨側から南アルプスを眺めたとき、ひときわ目立つ大きな山が甲斐駒ヶ岳(2,967m)です。南アルプスの貴公子と呼ばれます。遠くから見ると雪に覆われているように見えますが、これは花崗岩による岩・砂地に覆われているためです。岩場も多く、岩登りを楽しめます。

甲斐駒ヶ岳の登るなら、長衛小屋をはさんでその反対側(南側)に位置する仙丈ヶ岳(3,033m)にもぜひ登ってください。南アルプスの女王と呼ばれる仙丈ヶ岳はいくつものカールを抱え、壮大で優雅な山容が特長です。

●コース例(1泊2日):
仙流荘(駐車場)〜(バス)〜長衛小屋(ベースキャンプ)〜甲斐駒ヶ岳〜長衛小屋(泊)〜仙丈ヶ岳〜長衛小屋(下山)〜仙流荘
 体力:★★★☆
 技術:★★☆☆
・長衛小屋に荷物を置いて、2日で2座に登れる
・テントを担がなくてよいのでテン泊入門
・岩の甲斐駒と、雄大な稜線の仙丈ヶ岳を一度に登頂
・南アルプスの北(山梨側)に位置し、北アルプスや八ヶ岳などの最高の眺望
・鳳凰三山、北岳の眺めが素晴らしい

鳳凰三山
南アルプスの北東部に位置する鳳凰三山は、薬師岳(2,780m)・観音岳(2,840m)・地蔵ヶ岳(2,764m)からなります。この三山は1日で縦走でき、南は白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)から北は甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳を眺望できる抜群のロケーションです。比較的アクセスも良いので、北岳・間ノ岳縦走に並んで、南アルプス入門コースといえます。ただし2024年現在、鳳凰小屋が工事中のため2泊3日の行程が組めず、1泊2日コースとなります。やや体力が求められます。

●コース例(1泊2日):
夜叉神峠(ここまでバスか車)〜杖立峠〜苺平〜南御室小屋(泊)〜薬師岳〜観音岳〜地蔵岳(オベリスク)〜御座石鉱泉(下山)または青木鉱泉(下山)
 体力:★★★☆
 技術:★★☆☆
・登りも下りも長い樹林帯(メンタルきつい)
・所々抜けるような眺望あり
・白峰三山を眺めるには最高だと思う
・薬師岳より先タカネビランジがたくさん(7月–8月)
・花崗岩の白砂はまるでビーチのよう
・隠れた絶景ポイントあり

塩見岳
南アルプスのちょうど中央に位置する塩見岳は、アクセスがしづらくまた縦走も長い山行になりがちです。おすすめは木曽側の鳥倉登山口からのアクセスが便利です。駐車場から登山口まで1時間くらい歩きますが、1泊2日のピストンで塩見岳を登頂できます。

●コース例(1泊2日):
鳥倉登山口(駐車場から徒歩1時間)〜三伏峠〜本谷山〜塩見小屋(泊)〜西峰・東峰〜塩見小屋〜三伏峠〜鳥倉登山口(下山)スク)〜御座石鉱泉(下山)または青木鉱泉(下山)
 体力:★★☆☆
 技術:★★☆☆
・塩見岳登頂の最短コース
・塩見小屋はアプローチしやすいが水場がない
・三伏峠小屋で泊まってもよい(テント場あり)
・塩見岳へは岩場が続く
・縦走するなら東峰から間ノ岳・北岳方面へ
・一見地味だが百名山なので、完踏を目指すなら避けて通れない