皇海山はなぜ難しいのか

日本百名山の1つ皇海山(すかいさん)。標高は2,144mとそれほど高い山というわけではありませんが、登頂の難易度はかなり高い山として知られています。その理由は2つ。(1)2019年の台風で比較的アクセスしやすかった群馬側の皇海橋ルートが閉鎖になり、庚申山ルート(クラシックルート)しか選べない。(2)2024年現在、唯一の山小屋だった庚申山荘が休業している、です。 そのため、皇海山に登頂するには、全長25km以上、累積標高2000m以上、コースタイムにして15時間のルートを「日帰り」しなければなりません。たとえば朝4時に出発して帰着は午後7時になります。

またルートが長いだけではありません。難易度が高い要素がいくつもあります。庚申山の登りの連続する岩場、庚申山から鋸山への稜線はいくつものピーク(アップダウンが激しい)、鋸山の連続する長い岩場、鋸山〜皇海山間の急な下りと登り返しのピストン区間、登山道をふさぐ倒木(本当に多い)。また、登頂後、庚申山ルートで戻るか、六林班峠経由で巻くかの選択がありますが、庚申山ルートのアップダウンを避けようと六林班峠ルートを選んでも、鬼のような笹の藪漕ぎと、長い長いトラバースが下山の疲れた体に応えます。

とはいえ、百名山完登を目指す方にとって避けることはできません。皇海山には登頂経験者かガイドといっしょに登ることをおすすめします(庚申山荘休業中はツアーも出ていないようです)。経験者は水分補給ができる水場の場所(これがわかりにくい)、危険箇所や道迷いしやすい場所(皇海山の取り付きや女山〜六林班峠間)、次にどんな登りや下りが待ち受けているのかを知っています。まこうした情報があるのとないのとでは全然違います。